図1 柱根3の年輪パターングラフ(赤線)と暦年標準パターングラフ(黒線)  奈良文化財研究所・光谷拓実氏提供
図中の黒線は光谷拓実氏が作成した年輪年代測定の基礎になる暦年標準パターングラフです。縦軸に年輪の幅、横軸に年数を表示。縦軸の凹凸〔おうとつ〕は成長した年輪の幅が年によって異なっている様子を示しています。例えば、毎年成長が同じであれば、グラフは折れ線状をなさず、横一直線になります。ヒノキは現在から紀元前912年まで約3千年間の暦年標準パターンが作成されています。
武庫庄遺跡の柱根はヒノキです。横軸の年によって縦方向に年輪幅の凹凸があり、成長が変化している様子がつかめます。図の赤線は武庫庄遺跡の柱根3の今回計測された年輪パターングラフです。年輪の成長の変化の様子が暦年標準パターンに合致していることが、よくわかります。−245年のところに柱根の最後の年輪が合致して、伐採・枯死年代が特定できました。