摂津国西成郡のうち(現大阪市此花区)、江戸時代の中津川河口の港。正保(1644~1648)ころに当地の廻船業者がはじめた樽廻船は有名であるが、大坂・尼崎とならび淀川河口地域の過書船の発着港でもあった。当地の上荷船も属していた上荷船茶船仲間は江戸時代初めから大坂市中の河川運送を独占していたので尼崎・兵庫・西宮などの渡海船との紛争が絶えなかったが、18世紀末ころからしだいに尼崎渡海船などの荷扱いが増えていった。伝法川の船渡し「伝法の渡し」は尼崎町の辰巳の渡しから大坂にいたる街道に通じていた。
執筆者: 地域研究史料館