傀儡師(『摂津名所図会』)
人形遣いを言う。その起源については、巫女説・海部〔あまべ〕説・外来民族説があるが、今となっては決め難い。またその実像も地域による相違、時代による変遷がある。古くは大江匡房〔まさふさ〕の書き残した「遊女記」により、土地なき民であったと思われる。中世以降になると芸能人として街道筋の宿場町や河口の港町に住み着き、その持つ芸能によって生計を営んでいた。中世には淀川沿岸の河陽(大山崎)や神崎川河口の神崎で活動していたが、戎社(西宮神社)の発展にともなって、その散所の民となり、その保護の下で「戎まわし」を演じながら、そのお礼を各地に配った。
執筆者: 渡辺久雄