問丸
といまる
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』
中世、港湾・河川など水上運輸の要地に居住して、物資の運輸・保管・仲継取引などに従事した業者。問ともいう。すでに平安末期に、淀川流域の淀津(現京都市)などで成立しているが、そのころはまだ、荘園領主から問職〔といしき〕という一種の荘官に任命されて年貢米の運送・管理などを担当していた。ところが、鎌倉中期以降、商業が発達するとともに、荘園領主から独立して、ひろく一般の物資や商品をあつかう専門の運輸業・倉庫業者としての性格をつよめ、室町時代にはいると、商品の仲継取引や金融業などを営み、商品流通機構の中枢に進出する者も現れるにいたった。市域でも、15世紀中葉には、別所友久という尼崎の問丸が兵庫関の問丸らとともに周防国から東大寺へ年貢を輸送しており、また遺明使の公事〔くじ〕船の荷物にかかわった問丸なども確認でき、問丸の活躍が活発であったことを示している。