大覚寺文書

だいかくじもんじょ
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』

  大覚寺寺町の律宗寺院。鎌倉時代末の1313年(正和2)から近世初頭の1591年(天正19)にわたる58通(うち9通は現在唐招提寺蔵)の文書を伝存しており、中世尼崎の史料として貴重。1967年(昭和42)兵庫県指定重要有形文化財に指定された。1315年(正和4)の年紀をもつ「大覚寺絵図」は、当時の境内や堂塔伽藍の規模が詳細に示されており、中世都市尼崎を知る史料として有名。この他、大覚寺創建を許した長洲荘領主鴨御祖社社家や同荘の代官・沙汰人らが同寺の安泰を保証した証文があり、覚一本「平語相伝次第」は、流布本「平家物語」の相伝次第がもっとも詳細に記された文書として有名。近世末に唐招提寺の末寺になったが、それまでの多くの寺領関係文書や住寺職補任状、武家文書や公家文書等が寺外へ流出するなどして消滅したと考えられる。

執筆者: 田中勇

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