妙見講
みょうけんこう
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』
小田地区久々知の日蓮宗広済寺境内にある鎮守妙見社の講。日蓮が伊勢常明寺で北辰〔ほくしん〕妙見尊(北極星の神格化)を感得したとされることから、日蓮宗寺院では守護神の一つとして妙見尊(妙見大菩薩)を祀る。近世の『摂津名所図会』巻6によると、久々知妙見堂は能勢妙見とならんで流行神としての信仰を集めていた。広済寺文書「広済寺開山講中列名縁起」は、妙見尊の利益〔りやく〕として家業を助け家内繁栄に導くことを説いており、講中として近松門左衛門の名や佐野川万菊などの名士・芸能人、さらに豪商の名が連ねられている理由が知られる。近松と広済寺との直接の関係は、広済寺再興にあたった日昌、および再興発願者の正本屋九右衛門との交友にあったであろうが、妙見講という講組織を作って信仰活動を進め、流行神化していったところに近世都市型信仰の特質がみえる。