富松神社本殿
とまつじんじゃほんでん
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』
一間社春日造り柿葺〔こけらぶき〕で、隅木はない。当社所蔵の古文書「福松寺記録」によれば棟札があったらしく、「牛頭天王〔ごずてんのう〕棟札」の写しには寛永13年(1636)とあり、様式から推測してもこの時期の建立としてよかろう。向拝頭貫〔こうはいかしらぬき〕は虹梁〔こうりょう〕形、先端を象鼻〔ぞうばな〕とし、組物は連三斗〔つれみつど〕、中備〔なかぞなえ〕には蟇股〔かえるまた〕、主屋とは海老虹梁でつなぐ。主屋の頭貫は梁行方向のものは木鼻〔きばな〕としており、背面突出のものを象鼻としているには珍しい。四面に蟇股を入れ、極彩色を施す。妻組は虹梁大瓶束〔たいへいづか〕。軒はいずれも一軒〔ひとのき〕。屋根の箱棟の上に千木・勝男木はない。内外陣の境は3か所に小さな板扉を設けるが後補で、浜床も現在は撤去されている。細部の様式はこの時代の特徴をよく示す。1968年(昭和43)に県指定文化財となった。