尼天道船

あまてんとぶね
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』

  尼組過書船のうちに含まれ、その主体をなした船。天道船は伝道船・天頭船・天当船などとも書く。『和漢船用集』には「伝道は往古より呼び来る船の名、能〔よく〕利にかなへり。(中略)不通〔ふつう〕を済〔わた〕るは伝道なり。また伝通とも書くべし。この利によりて名づくる者なり。今多く天道と書くは、その故を知らず。音によって誤るものか」とある。淀川水系のものは二枚水押〔みよし〕の尖った先端部を天頭と称した。尼天道船は尼崎地方や西国筋の貨客を乗せて上りに一日または一夜、下りに半日・半夜をかけて、京都との間を上下したが、18世紀前期には過書船総数877艘の17%にあたる151艘が、1787年(天明7)には30石以上の過書船740艘のうち19%の141艘が尼天道船であった。

執筆者: 藤本篤

参考文献

  • 『和漢船用集』(海事史料叢書11) 1929 巖松堂
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