尼崎市中央卸売市場
あまがさきしちゅうおうおろしうりしじょう
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』
尼崎市では1937年(昭和12)の日中戦争開始以降、軍需工業化の進展にともなって人口が飛躍的に増大し、食料の入手が困難となっていった。このため、市民に生鮮食料品を安定的に供給することを目的として、1944年6月阪神国道南沿いの玉江橋東詰(昭和通2丁目)に市営の尼崎食料品卸売場が開設された。1950年6月には中央魚菜市場として認定されたが、食料の需要に応じきれないため本格的な市場の建設が必要とされ、同地に尼崎市中央卸売市場として新たに建設、1953年11月開業した。中央卸売市場としては全国で12番目であった。総工費6,640万円、当初敷地面積は8,062m2で、1959年には1万1,419m2に拡張した。しかし、年々取り扱い高が増大し、施設も狭あい化していったため、1964年から3か年計画で総事業費(用地買収費と建設費)17億円を投じて久々知字シノ坪(現潮江4丁目)に新築、1967年10月開業した。取り扱い高は、1954年には1万8,510トン、5億862万2,000円だったが、新築の翌1968年には9万9,835トン、87億8,685万8,000円と飛躍した。開業と同時に国鉄の引き込み線が敷設され尼崎市場駅が設置されたが、1980年10月廃止となった。
農林水産省は2005年にまとめた中央卸売市場整備計画で、取り扱い高が減少している中央卸売市場に対して地方卸売市場への転換をすすめるとした。これを受けて尼崎市は、2007年4月に中央卸売市場を卸売市場法に基づく地方卸売市場へと転換し、尼崎市公設地方卸売市場と改称した。
参考文献
- 『尼崎市中央卸売市場二十年史』 1976