尼崎市立勤労婦人センター
高度経済成長期以降、女性の職場進出がめざましくなるにつれ、1970年代には尼崎市内で10万人以上が女性勤労者とも言われる状況にあった。パートタイマーとしての労働形態、中高年齢層の職場進出も目立ち、女性の勤労者としてのあり方や育児など勤労婦人をとりまく諸課題が生じていた。これに対して尼崎市は1972年(昭和47)4月、労働部に勤労婦人主幹を設け、講習会やセミナーの開催を通じて勤労婦人や勤労家庭の主婦に対して意識啓発や福祉の向上に取り組み、さらにこれらの事業を担う総合的な婦人福祉施設として1974年7月13日、市立勤労婦人センターを南武庫之荘3丁目に開設した。施設は敷地面積が1,322m2、鉄筋コンクリート3階建て、延床面積2,113m2であり、施設内には職業指導室・講習室・託児室・図書室・軽体育室などが設けられた。その後、増床・改修工事を実施し、新たに情報資料室・多目的ホールなどを設け、1993年11月2日に市立女性・勤労婦人センター(通称女性センター・トレピエ)としてリニューアルオープンした(延床面積2,245m2)。女性の自立と社会参加を支援し男女共同参画社会の実現をめざした事業を行っており、2004年(平成16)からは指定管理者制度が導入されている。
なお、1985年11月1日、尼崎市立消費生活センターが東難波町から市立勤労婦人センター内に移転オープンした。同センター内に尼崎消費者協会の事務所も置かれていたが、2020年6月末をもって尼崎消費者協会が解散し、同月6月29日、消費生活センターは女性センター・トレピエから市役所本庁舎内に移転した。
2003年(平成15)9月の地方自治法改正後、尼崎市も指定管理者制度を導入することになり、2004年1月に啓発・相談・情報などの事業実施と貸室利用料の収受、施設の維持管理-清掃、保安などを行う女性センター・トレピエの指定管理者が公募された。選定委員会による書類審査の後、公開プレゼンテーションが行われ「総合力」、「管理能力」、「事業能力」、「コスト」を基本評価項目とした評価点において、(特活)男女共同参画ネット尼崎が選定され、2004年7月からの2年9か月間(第1期)の女性センター業務を行った。2005年1月、市内公共施設使用料の減免率が引き下げられたにもかかわらず、利用者数と利用率は市直営時を上回り、挨拶や接遇、ニーズに応えた貸室利用方法の改善や部屋の整備も評価され、利用グループや受講者数も増加した。2006年8月には第2期の指定管理者が公募され、再度、(特活)男女共同参画ネット尼崎が選定され、2010年3月までの期間の指定管理者となった。
女性センター・トレピエは尼崎市男女共同参画社会づくり条例(2005年策定)の理念と尼崎市男女共同参画プラン(案)に基づき、女性の自立支援、地域、職場、家庭、学校などにおける男女共同参画社会づくりをめざす事業を展開している。
2010年4月以降も、第3期・第4期・第5期と(特活)男女共同参画ネット尼崎が指定管理者に選定され、2025年3月まで施設を管理し事業を実施している。