江戸時代の尼崎浦の漁獲を総括的に記した史料はない。1886年(明治19)5月から調査を始めた『兵庫県漁業慣行録』(1890年完成)には、尼崎町・大物村・別所村の漁獲物として、ハモ・ボラ・チヌダイ・タイ・タチウオ・アナゴ・コチ・ヒラメ・クルマエビ・カニ・テナガダコ・などのほか、貝類ではトリガイ・ハマグリ・アカガイ・シジミ・アケミガイが記されている。とくに「鳥貝」は、1702年(元禄15)刊行の『摂陽群談』にはじめて尼崎の名物土産とされて以来、江戸時代尼崎の名産として有名であった。
執筆者: 地域研究史料館
関連項目