1873年(明治6)6月に兵庫裁判所が設置した役所。同裁判所検事局の指揮を受けて犯罪捜査や犯人逮捕に当たるはずのところ、新設後わずか3か月で廃止された。逮部出張所には所長の検部(検事の補佐官)が発令されたはずであるが、体制の整う以前に消滅したためその実態はよくわかっていない。逮部出張所のあわただしい新設・廃止の裏には、江藤新平司法卿のラジカルな司法改革構想が、大蔵省側(井上馨大蔵大輔)との間の予算折衡に敗れて、挫折したという事情がある。
執筆者: 草山巌
カテゴリ: 警察(近代)