市警察問題

しけいさつもんだい
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』

  1950年(昭和25)4月、尼崎市警察では警察局長が市公安委員会に「局長不適格」と判断され、免職処分に付されるということが起きた。警察首脳部の間にみられた市警察運営方針をめぐる不協和音が、たまたま発生した尼崎市議会の有力議員の暴行事件処理にからんで内部抗争に発展したのである。市議会では、警察運営の実態を糾明するため警察特別調査委員会を設置し、一方市民による市警粛清大会が開かれた。こうした批判に答えるため、警察は紛争関係者全員を組織から排除して事態を収拾した。内紛の原因は1948年の市警発足時、警察(局)長選任に際する公安委員会と議会警察消防委員会の対立に求めることができる。戦後初めて採用された市民代表として公安委員会による警察管理方式は、警察の民主化と不偏不党の公正な運営を確保するためのものである。このため新制度の根幹を揺るがすことになる地方ボスの警察運営介入阻止は不可欠とされていた。尼崎のこの事件は、多くの問題を抱えて試行錯誤していた他の中小自治体警察に対する大きな警鐘となった。

執筆者: 草山巌

参考文献

  • 池田徳誠『乱雲』 1988
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