後院領
ごいんりょう
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』
後院とは、在位中の天皇が譲位後の御所として定めた居所のことで、それに付属する所領・荘園などを後院領という。したがって、本来、天皇の私的な財産としての性格のつよいものであった。後院の制は、9世紀中葉の仁明天皇のときおこり、835年(承和2)に100町の勅旨田が充てられたのをはじめ、次第に多くの所領荘園が寄せられ、平安中期以降は、歴代天皇が伝領すべき重要な皇室財産となった。とくに、1157年(保元2)3月に、保元の乱で敗れた左大臣藤原頼長以下の所領を後白河天皇の後院領にしたことなどにより激増した。このとき没官されて後院領となった藤原頼長の所領は29か所であるが、そのなかには、市域の富松荘・野間荘・大島雀部〔ささべ〕荘の3か所が含まれてた。
参考文献
- 橋本義彦『平安貴族社会の研究』 1976 吉川弘文館