日隆上人坐像
にちりゅうしょうにんざぞう
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』
室町時代の木造肖像彫刻。像高71cm。開明町の本興寺開山堂にまつられている。越中の人日隆(1385~1464)が、法華宗本門流の大本山として本興寺を建立したのは1420年(応永27)であるが、本像は、寺記によると、1453年(享徳2)日隆69歳のとき堺の仏工浄伝に造らせ翌年完成したという。寄木造り、彩色、玉眼を入れる。僧綱領〔そうごうえり〕を立てた法衣をまとい、袈裟〔けさ〕と横被〔おうひ〕をつけ合掌する。頬〔ほほ〕と顎〔あご〕の秀でた相貌から、上人の英知と強い意志力が如実にうかがわれる。口唇の周辺や、頬から眼窩の周囲にかけての彫出法は、当時さかんに作られた能面彫刻に共通するものであることが興味深い。1904年(明治37)国指定文化財となった。