本所
ほんじょ
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』
重層的に構成された荘園領主層のなかで、荘園を実質的に管理支配する荘務とよばれる権限をもっている荘園領主。寄進などをうけて領家となった荘園領主は、さらにその上に、院宮家・摂関家など最高級の権門を本家として仰いで、いわゆる本家寄進を行ない保護関係を求める場合が多く、荘園領主のあいだに重層的な構造が形成された。本所とは、この本家と領家のうち、いずれか実質的に荘務権をもっているものを指す概念である。したがって、市域の諸荘園においても、猪名荘・長洲荘の東大寺、長洲御厨の鴨社・橘御園の摂関家、浜崎荘の春日大社・興福寺など、すべての荘園に必ず本所が存在して荘園支配を行なったのである。
参考文献
- 安田元久『日本荘園史概説』 1957 吉川弘文館