樽巻菰

たるまきこも
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』

  主として酒樽に巻いたので、酒樽菰ともいった。それは酒樽を保護し、かつてその表に印し(銘柄)を刷り込んで外装を整えるための菰莚〔むしろ〕で、これで酒樽を巻き、それに立縄や横縄の縄類を使った。この樽巻菰莚と縄の生産は、当然酒造業の発展と密接に関連づけられる。近世江戸積酒造業が伊丹池田尼崎、それに灘目今津など、かなり広い範囲で展開していったのにくらべると、菰莚類の生産は、城下町尼崎の周辺部、とくに尼崎市域の園田・小田地区の村々における農間余業として農村地域に展開していた。これを取り扱ったのが菰縄仲買たる樽菰屋(菰屋仲間)で、尼崎城下では荒物仲間を結成し、酒造家への酒樽菰莚などを一手に引受けていた。1824年(文政7)の尼崎荒物仲間は17軒を数えた。

執筆者: 柚木学

参考文献

  • 柚木学「近世尼崎地方における産業動向」『阪神間産業構造の研究』 1987 法律文化社

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