河辺郡
かわべぐん
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』
摂津国の郡の一つで、大阪湾の沿岸地帯から、猪名川に沿って北摂山地にいたる南北に長大な郡である。現在の行政区画で言うと、尼崎市・伊丹市・宝塚市・川西市・猪名川町・三田市の一部などがこれに含まれる。「和名抄」によると、河辺(邊)郡は雄家〔おべ〕・山本・為奈・郡家〔ぐんが〕・楊津・余戸〔あまるべ〕・大神〔おおむち〕・雄上〔おべのかみ〕の8郷からなっている。このほか751年(天平勝宝3)の「奴婢見来記〔ぬひげんらいき〕」(東大寺文書)に「川辺郡坂合郷」がみえる。また「続日本紀」の和銅6年(713)9月条には、河辺郡の玖左佐〔くささ〕村が遠隔の地にあって不便なので、これを分離して能勢郡とするとみえ、当初は能勢郡の地まで河辺郡に含まれていたことが知られる。養老令の規定によると、8里(郷)から11里までの郡は中郡であり、大領・少領・主政・主帳各1人からなる郡司が行政にあたることになっていた。