灘目地域は六甲山系が海岸に迫っている地形のため、住吉川・石屋川・都賀〔とが〕川など多くの急流が南北に走っている。18世紀に入ってこの地域に酒造業や油絞り業が発展するようになると、その工業動力としてこれらの急流に水車が設けられた。都賀川の中流には水車新田という水車油絞り業専業の村もあらたに出現したほどであった。水車によってこれらの加工業は他地方の同業に優越する地位を得た。特に油絞り業の場合は、大坂・堺・平野郷など旧来の人力油絞り業を圧倒し、その大量加工能力によって西摂のみならず、瀬戸内・西国の菜種作の発展を促進した。
執筆者: 山崎隆三