猪名寺給孤独園

いなでらぎっこどくおん
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』

  「行基年譜」によると、行基は釈迦が説法をしたという給孤独園になぞらえて、聖武天皇に請い摂津国為奈野〔いなの〕の地(猪名川流域)に給孤独園を設置したとある。また、「日本後紀」弘仁3年(812)8月癸丑条には、摂津国にある150町の惸独田〔けいどくでん〕は行基が孤独を衿〔あわ〕れんで設置したとある。さらに行基ゆかりの家原寺〔えばらじ〕(現堺市)所蔵の「行基絵伝」には、「猪名寺孤独園池」が描かれている。これらを総合すると、猪名寺給孤独園は、行基が身よりのない子や老人を収容するために摂津国為奈野の地に設置した諸施設をいうのであろう。

執筆者: 福島好和

参考文献

  • 『伊丹市史』第1巻 1971
  • 村川行弘「行基絵伝にみられる『猪名寺孤独園池図』について」『総合科学の諸問題』 1987 大阪経済法科大学出版部
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