神呪寺
かんのうじ
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』
武庫郡甲山中腹(西宮市甲山町)にある真言宗の寺院。「帝王編年記」(僧永祐編)に、淳和天皇の皇后正子内親王(嵯峨天皇第1皇女、母は橘嘉智子)が827年(天長4)に創建したとある。正子は同年2月27日に立后、3月「摂津国武庫山の辺に宝珠形の孤岳あり、観音利生の地で寺を建立すべし」との霊夢を得た。これを天皇に告げると、天皇は橘氏公・三原春上の2人に命じて精舎を建立させ、如意輪観音を本尊とさせた。空海が「如意輪観音秘密神呪」に基づいて神呪寺と命名した。
「元亨釈書」に異伝がある。当山で役小角が修行した話、本寺建立者を淳和天皇第4の妃如意尼とする等。本尊(重要文化財)は河内歓心寺、大和室生寺の各如意輪観音像とともに平安初期名作三如意輪観音の一つとされるが、他よりもいささか時代が下がる。甲山大師として親しまれ、江戸時代の名所旧跡案内記『摂津名所図会』にもとりあげられている。