神崎浄水場
尼崎市次屋4丁目に位置する。1918年(大正7)の上水道創設の地であり、当初は神崎水源地と呼称した。創設水道は神崎川と藻川の合流地点から取水したので、この地を水源地とした。場内に配水塔が建設されたが、全国的にも例のない高さ30m※の西欧式のものであったので、格好な目印として、尼崎名物の一つとなった。付近の工場建設とともに原水の水質が悪化したため、1928年(昭和3)に神崎川からの取水を廃止して、淀川の柴島取水場から取水するようになった。以後、市勢の発展とともに数次の拡張改良工事を施行し、総敷地面積4万8,026m2に、日量8万6,000m3の給水能力(1993年・平成5現在)をもつ、近代的な浄配水施設を整備した。なお、1973年(昭和48)に設備したオゾンによる脱臭装置は、近代水道百選の一つに数えられている。また、1988年には通水70周年を記念して、「水の遊学館」を建設し、見学者に各種の水情報を提供している。
※高架水槽の上端までの高さが30mであり、水槽を覆う鉄蓋(三角状の屋根)の頂部までを含めると約36mになる。
水源である琵琶湖の水質悪化によるかび臭の問題及び、消毒剤の塩素と反応してできるトリハロメタンなど発がん性の疑いがある微量有機物の生成を防ぐため、神崎浄水場は1998年(平成10)に高度浄水処理施設を設け、同年7月1日から市内全域に高度処理水の供給を開始した。高度浄水処理とは、従来の浄水処理方法にオゾン処理・活性炭処理を加え、かび臭をほぼ完全に取り除くのに加えて、トリハロメタン濃度を国基準の3分の1から8分の1程度に減らす方式で、1998年当時市内水道水の87%を供給する阪神水道企業団も同年7月には90%の割合で高度浄水処理水を供給していた。2001年4月以降は阪神水道企業団の供給水も100%高度浄水処理水となり、この結果市内水道水はすべて高度浄水処理水となった。
参考文献
- 『尼崎市水道70年史』 1988