談笑倶楽部

だんしょうくらぶ
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』

  阪神電鉄の労働者の親睦団体。1920年(大正9)12月ころ、乗務員の依岡勇三郎・川島三郎らが文学研究を目的とするサークルを結成し、その後会合を重ねるなか、総同盟の影響も受け組合化を目指した。1922年3月野田駅を中心に秘密裏に「交友会」という組合組織を結成しようとする運きもあったが、会社に察知され挫折した。同年6月22日尼崎市立図書館で全従業員800人中300人を結集して「談笑倶楽部」を結成し、組合化を達成。7月7日に大会決議にもとづく賃上げ要求等を提出した。同月14日西部交通(大阪市電)他の電鉄労組の支援を得た演説会(尼崎市立図書館)は、会社と官憲の弾圧で中止に追い込まれ指導者が解雇された。憤激した労働者のなかからは自然発生的に欠勤が広まり、22日朝「阪神沿線市民諸氏に訴ふ」とのビラを撒き、多客期の大阪天神祭を期して25日早朝からストに突入した。同日の乗務予定者579人に対して出勤者は43人にとどまった。27日会社は17人の解雇と引き換えに、要求を上回る35銭の増給を発表。本社(尼崎市)におけるその後の交渉の末、退職金制度制定・解雇者に手当支給等の条件で解決した。指導者の解雇にともない1923年3月14日ころまでに自然消滅。その後再建への努力がなされ、1924年4月28日に阪神電鉄従業員組合が結成された。

執筆者: 久保在久

参考文献

  • 阪神電鉄労組『闘いの十年』 1956
  • 長尾桃郎・桑田次郎『交通労働運動の過程』 1926

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