農地改革

のうちかいかく
農地委員会より転送)
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』

  第2次大戦後、アメリカの対日占領政策の一環として、不在地主の全所有地および在村地主の1町歩(全国平均、兵庫県では6反)以上の所有地を強制的に小作農に譲渡させ、広範に自作農を創出した改革。当初日本政府が提出した第1次改革案は総司令部に拒否され、1946年(昭和21)6月の対日理事会でのイギリス案が日本政府に勧告され、それにもとづいて政府は10月自作農創設特別借置法などの立法措置を講じて実施した。12月に改革を担当する農地委員の選挙を実施、尼崎市・園田村農地委員会が発足した。農地委員会は買収すべき農地を決定し、国が買収と小作農への売渡しを行なった。尼崎市園田村を合わせて総農地914町歩のうち602町歩が買収され、改革前1,517戸の小作農は206戸に激減し、自作農は497戸から1,616戸に激増し、明治以来の地主制は消滅した。買収・売渡し価格はその後のインフレによる貨幣価値の低下とともに事実上無償にちかいものとなった。また創出された自作農のなかには零細な規模のものが多く、市域の農家の平均耕作規模は4反未満にとどまった。特別借置法には宅地・工場用地への転用の買収除外規定があったので、その適用の可否をめぐる地主側の異議申立てがなされたが、農地委員会でその大半は却下された。

執筆者: 山崎隆三

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