郷蔵
ごうぐら
出典: Web版尼崎地域史事典『apedia』
近世の村々で、年貢米を領主に納めるまで一時的に保管するため村内に設けられた倉庫。庄屋など有力農民の私蔵が転用された場合もある。近世中期以降になると凶作に備えて貯穀の目的も兼ねることになった。郷蔵敷地は高引となり免租地となる場合もあった。平時にあっては郷蔵の管理は厳重であったが、1868年(慶応4)正月維新政府は討幕資金調達の当面の措置として、摂津・河内・和泉・播磨における幕府領・私領の郷蔵を封印して、そこに保管されている年貢米を差し押えたことがある。このとき川辺郡上坂部村・森村・七松村などの郷蔵が長州藩によって封印をうけた。下坂部村では庄屋が郷蔵に残っている米は樋代銀などの下付金であると答え封印をまぬがれた。