第2次大戦前航空機の発達によって戦時には空襲をうける可能性が高まったので、軍部は国民総力での防空という思想に立って1934年(昭和9)近畿一円に大規模な防空演習をはじめて実施した。防空演習は対空警戒・消火活動・燈火管制などに一般市民を動員して、市民生活の軍事的統制の先導的役割を果した。軍需工場の集中している尼崎では重視され、翌年10月には市長を団長とする尼崎防護団が結成され、地域の分団・工場分団のほか水上防護班が編成された。1939年1月公布の警防団令によって、4月に防護団と消防組が統合されて警防団が結成された。防空壕・防水槽の設置、防毒マスクの訓練も実施し、防空防火体制を強化した。
執筆者: 山崎隆三