中世の市の図(「連釈之大事」より)
「連釈〔れんじゃく〕之大事」は、中世の行商人「連雀〔れんじゃく〕商人」の秘伝書として各地に伝来しています。この図は、公道や広場に設けられた二つの門の間、一種の結界の場に「仮屋」を建て並べた中世の市の様子を伝えているとされています。中央に市神を祀る「中御堂」、左側の「下町門」の外に宿泊施設である「タンクワ屋(旦過屋)」と風呂屋があります。「仮屋」に出店しているのは呉服・朱・米などの商人や檜物・弓矢などの職人だけでなく、傾城〔けいせい〕・白拍子〔しらびょうし〕などの芸能民も店棚を構えたと記しています。『庭訓往来〔ていきんおうらい〕』には市に招くべき人として「琵琶法師」も記されています。(コラム「琵琶法師と大覚寺」参照)